こんにちは。このブログでは、テクノロジーやアート、そして多様な文化が交差する“路地裏”をテーマに、古代ギリシャのリベラルアーツ精神をヒントにしながら、新しい価値と学びを提案しています。新シリーズ「哲学史を旅する」へようこそ。みなさんは「哲学」と聞くと、どんなイメージを思い浮かべますか?「言葉が難しそうでとっつきにくい」「自分には関係ないんじゃない?」「大学で専門的に学ぶ人のための学問?」正直、そう感じる方が多いかもしれません。かくいう私も、哲学の最初の印象は「頭の良い人がやる特別な学問」というものでした。でも実際は、哲学は誰にでも関係があるし、日常生活やビジネス、そして未来を切り開く創造性にも大いに関わっているのです。そこでこの連載では、古代から現代に至る“哲学史”という壮大なストーリーを、いわば「路地裏を探検するような感覚」で一緒にのぞいていきたいと思います。意外な路地を一本入った先に、人生や社会の見え方を一変させるような発見があるかもしれません。1. 哲学と社会、哲学と自分の不思議な関係1-1. 哲学は“人生”や“社会”のリアルと密接につながっている「哲学なんて社会の役に立つの?」という疑問を耳にすることがあります。たしかに、哲学はソフトウェアのように具体的な機能を提供してくれるわけでもありません。けれど、たとえば「テクノロジーがもたらす未来」について考えるとき、その根本にあるのは「人間は何を求め、どこへ向かおうとしているのか?」という問いです。これはまさに哲学的な視点です。実際、AI(人工知能)の倫理やロボットの権利を考えるとき、そこには「意識とは何か?」「人間と機械の境界はどこにあるのか?」といった深遠なテーマが出てきます。これらは古代ギリシャ以来の「心と体の関係」や「知能とは何か?」という哲学的問題と直結しているのです。1-2. 哲学は“自分自身”と向き合うことでもある社会だけでなく、私たち一人ひとりの生き方を見つめるうえでも、哲学は大きなヒントをくれます。人間関係の悩みや仕事への葛藤が生まれたとき、「そもそも自分は何を求めているのか?」「幸せとはなんだろう?」と考える瞬間があるはずです。そこで立ち止まって考える姿勢こそが、“哲学する”ことの第一歩。古代ギリシャの哲学者ソクラテスは「汝自身を知れ」という言葉で人々を導きました。自分の無知を認め、疑問を深め、対話を通じて真理を探究する――その営みは、現代でも自己理解やコミュニケーションスキルの基盤になり得るのです。2. “路地裏”で出会う哲学史とは?2-1. 大通りから離れた“路地裏”こそ思わぬ発見の宝庫人通りの多いメインストリートや大きなショッピングモールではなく、少し奥に入り込んだ路地裏には、馴染みのない雑貨店や個性的なカフェ、古本屋などが並び、「こんな場所にこんな世界があったのか!」と驚かされることがしばしばあります。哲学史も、ぱっと見は華やかさが感じられないかもしれないけれど、その奥深さと多様性はまさに路地裏の雰囲気そのもの。2-2. 歴史を知ることは“今”を理解する鍵になるところで、歴史を学ぶ理由って何でしょうか? それは、現在抱えている問題の背景を知り、新たな視点を得るためのヒントになるからです。テクノロジーの急速な発展によって、ビジネスモデルが目まぐるしく変化している今の時代だからこそ、「世界をどう捉えるか?」という問いに対する先人の知恵を借りる価値は大いにあるはずです。哲学史をざっくり眺めるだけでも、「世の中はどういう原理でできているのか?」を考えた自然哲学者、「人間の生き方や徳」を探究した古代ギリシャの思想家、「神と人間の関係」に情熱を注いだ中世の神学者、理性や経験を重んじた近代の哲学者たち――など、多種多様な視点が交わっているのがわかります。それらの思索の断片は、私たちが抱く新しい疑問を解決する手がかりとなるでしょう。3. シリーズでお届けする“哲学史”の魅力このブログシリーズでは、古代から中世、近世・近代、そして現代へと続く哲学の流れを大きく4つの章立てで旅していく予定です。それぞれの時代が抱える社会背景をひもときながら、代表的な哲学者や思想がどのように生まれ、発展してきたのかを見ていきましょう。その中で、みなさんが持つビジネス・クリエイティブ・生き方の問いに役立つエッセンスを探してみたいと思います。3-1. 古代:ギリシャ・ローマ、そして東洋世界古代ギリシャの自然哲学者たちが試みた世界の根源探究は、いわば“サイエンス”のはじまりでもありました。プラトンやアリストテレスによる体系的な思考法は、いまだに学問の根幹を支えています。インドや中国の古代思想にも目を向けると、人間存在の本質や自然との調和、倫理観など、多様な価値観が見えてきます。3-2. 中世:信仰と理性の交差点中世ヨーロッパではキリスト教が強い影響力を持ちながら、アウグスティヌスやトマス・アクィナスなどが“理性と信仰”の狭間を深く探究しました。イスラム世界ではギリシャ哲学が翻訳・継承され、科学や医学、数学といった分野に大きく寄与。異文化交流による化学反応が起きていました。3-3. 近世・近代:ルネサンス、啓蒙、そして科学革命ルネサンスの人文主義は、「人間とは何か?」を再び焦点に据え、芸術や科学に爆発的な進歩をもたらします。デカルトの合理主義やロックの経験論がぶつかり合い、やがてカントによって統合される流れは、私たちが今も信じている「近代的な知」の根幹にあるのです。当時の社会変革(宗教改革、絶対王政の動揺、市民革命など)と哲学の関係を合わせて考えると、「思想と社会のダイナミックな連動」を実感できるでしょう。3-4. 現代:多様化する社会と哲学実存主義や分析哲学、そしてポストモダン思想などが隆盛した20世紀は、二度の世界大戦や急速な技術革新の時代背景がありました。「絶対的な真理」をめぐる懐疑や、「人間の存在意義」を問う声が高まり、今まで当たり前だった価値観が揺らぎ始めます。その一方で、AIやインターネットの発展により「真理とは何か?」「人間は何を求めるのか?」が再度問われている21世紀。そこで私たちは、哲学史からどんな学びを得ることができるのでしょうか?4. “問い”が未来をつくる4-1. ビジネスやクリエイティブを支える根源的な“問い”私たちのブログタイトルにある「新たな気づき×哲学×ビジネス」という言葉には、次のような想いがあります。新たな気づき:日常の当たり前を疑ってみる姿勢哲学:その疑問を深めるための土台や方法ビジネス:価値創造の現場でそれをどう活かすか?企業が商品を作ったり、新規サービスを生み出すときも、突き詰めれば「人々は何に幸せを感じるのか?」「社会は何を望んでいるのか?」という根源的な問いに行き着きます。たとえば、「SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)」が注目される昨今、企業は単なる利益追求だけでなく、「地球環境との調和」や「社会的課題の解決」というテーマを強く意識するようになりました。これらはまさに哲学の問いと地続きです。4-2. 路地裏の雑踏が生む“予測不能”なアイデア大通りをまっすぐ進むのではなく、あえて路地裏に迷い込むと、様々な音や光、人々の営みが混在していて、自分が知らなかった世界が一気に広がる感覚がありますよね。哲学史を学ぶことも同じように、「自分が今まで考えなかったテーマ」「未知の歴史や文化」を知り、頭の中にいろんなヒントや刺激を与える効果があります。その意外性や多様性が、イノベーションやクリエイティブなアイデアを生む土壌にもなると、私たちは考えています。大きな道路だけを走っていると、どうしても見逃してしまう風景や偶然の出会いがある。路地裏を散策するように哲学史を旅すれば、「自分だけの発想」を育む素地がきっと見つかるはずです。次回予告:古代のはじまりへ次回は、いよいよ「古代ギリシャ」を中心とした哲学の源流へと旅していきます。タレスやピタゴラス、ソクラテス、プラトン、アリストテレス……名前だけは聞いたことがあるかもしれませんが、なぜ彼らが今なお注目され続けるのでしょうか?「世界はどんな原理で成り立っているのか?」「善や正義とは何か?」「人間はどう生きるべきなのか?」そんな問いを、先人たちはどのように考え、社会に影響を及ぼしていったのか――。そこには、現代に通じる洞察や、“路地裏”ならではの意外なエピソードがたくさん隠されています。来週をお楽しみに!おわりに以上が、これから始まる「哲学史を旅する」シリーズのイントロダクションです。「難しそう」「関係ない」と思われがちな哲学の世界ですが、実は私たちのビジネスや日常、そして未来を切り拓くヒントがいっぱい詰まっています。このブログでは、路地裏を探検するようなワクワク感と自由な発想を大切にしながら、時に古代の思想家たちの言葉を引用し、時に現代のテクノロジーやアートと絡めながら、哲学史のエッセンスをわかりやすくお届けしていきたいと思います。ぜひこのシリーズを通じて、みなさんが自分の頭と心を“路地裏”に迷い込ませ、新しい価値観や生き方のヒントに出会っていただけると嬉しいです。次回からの連載も、どうぞお見逃しなく!それでは、次回は「古代ギリシャ」の入り口でお待ちしています。まだ見ぬ世界を発見する旅に、一緒に出かけましょう。